背景半波浪
概要

レガシーなシステムにもモダンなシステムにも DeNAはインフラ運用にも「AIオールイン」 2週間かかる難題を2日で解決した“切り札”

De NA customer story
レガシーなシステムもクラウドネイティブでモダンなシステムも問題なく扱えるため、当社が運営する多様なシステムの監視に使えるポテンシャルを感じています。

DeNA について

  • インターネット普及初期の1999年に創業したインターネット関連企業
  • ゲーム、ライブストリーミング、スポーツ・スマートシティ、ヘルスケア・メディカルなど様々な事業を展開
  • 年間売上高は1640億円

業界

  • 情報通信業

事例の概要

インフラ運用管理におけるAI活用を模索する中でDynatraceに注目
「AI活用に向けたデータの一元管理が可能」「内製で作り込んだ監視機能をサポートできる柔軟性」を決め手に導入
医療系サービスの厳格なセキュリティ要件を満たせる点も評価
監視対象システム数を基準とする課金体系、安価なログの保管コストによりコストを抑制

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スマートフォン向けゲームを中心に事業を展開するディー・エヌ・エー(以下、DeNA)。同社は2025 年に「AI オールイン」戦略を打ち出して、生産性の向上や新規事業の創出などのためにAI を積極的に活用している。しかし、システム基盤の運用管理を担うIT 基盤部には、気軽にAI を導入できない事情があった。

インフラエンジニアにとっての“真のAI活用”を模索

「インフラの運用管理業務にAI は適用しにくい」と同社の天野知樹氏(IT本部 IT 基盤部 副部長)は語る。

「アプリケーション開発の領域で生成AI の利用が急速に進んでおり、DeNA も大幅な生産性向上の手応えを感じています。インフラ管理も、IaC(Infrastructure as Code)の整備によってAI によるコード生成の恩恵を受けています。ただし、インフラ管理は操作対象が本番環境であることが多く、システム開発のようにサンドボックス環境で試せない場面もあるため、AI を気軽に適用しにくい領域です」

そこで、最も工数を割いているインフラの監視や調査へのAI 活用を模索した。天野氏は「インフラエンジニアは、現状を正しく理解して関係各所と調整し、最終的にIaC として実装します。その中で最も時間がかかり、熟練のスキルも要する調査フェーズをいかに効率良く実施できるか。これが『インフラエンジニアにとっての真のAI 活用である』と定義しました」と語る。

運用効率化を目指す2つのシステム

AI による運用効率化の対象にしたシステムの一つは、1000 以上のサーバで構成されたゲーム関連システムだ。これまでのトラブルへの対策ツールやスクリプトが複雑に組み合わさりながら実装されていた。天野氏は「一つ一つは正しい対策ですが、長い年月を経て地層のように積み重なり、結果として非常に複雑な監視となっていました」と明かす。


もう一つは、モダンなアーキテクチャを基盤とした医療系サービスのシスムだ。DeNA の安藤瑞希氏(IT 本部 IT 基盤部 第三グループ グループマネジャー)は「使用する技術がOS のレベルから異なる約10 のコンポーネントで構成されており、監視の仕組みもバラバラです。最大の問題点は、各コンポーネントの仕組みを全て理解している人がいないことです。障害が発生するたびに各コンポーネントの担当エンジニアが全員で対応しないと解決できませんでした」と振り返る。

そこで選んだ製品が、AI を活用したオブザーバビリティープラットフォーム「Dynatrace」 だ。エージェントがシステム環境全体を監視する 「OneAgent」機能を中心に、AI 機能を使って運用を効率化している。

DeNAはなぜDynatraceを選んだのか

Dynatrace を大規模システムの運用に採用した理由について天野氏は「AI活用に向けたデータの一元管理が可能な点」「過去に内製で作り込んだ監視機能をサポートできる柔軟性」を挙げた。Dynatrace は、既存システムの情報を集約してメタデータを付与し、AI が参照するコンテキストデータを自動生成する。内製の監視ツールの情報も、 Dynatrace のAPI を呼び出すコードを書けば連携可能だ。積み上げた再発防止策を無駄にせず、新しいオブザーバビリティー環境に組み込める点が選定のポイントになった。

ユーザー数が無制限で、監視対象システムの数を基準とする課金体系も選定理由だ。インフラエンジニアと開発者を含む約150 人が利用するため、 ユーザー単位の課金サービスはコストが膨れ上がる。

システムログの保管コストが安価な点も好印象だった。天野氏は「大規模なシステムほど大量のログを保管する必要があり、そのコストは削れません。Dynatrace は『この部分は安価だとありがたい』と思う部分を低コストに抑えてくれる課金体系になっています」と評価する。

安藤氏は医療系サービスでの採用理由として、機微な医療情報を取り扱う同サービスならではのメリットを挙げる。厳格なセキュリティ基準が定められており、 ログやトランザクションデータをSaaS に転送するには厳しい制約がある。Dynatrace はマスキングツールで送信データを任意に秘匿でき、セキュリティ要件を満たす構成が可能だった。

OneAgent もセキュリティ水準の維持に役立った。安藤氏は「ソフトウェアの脆弱(ぜいじゃく)性情報が公開された際に、各コンポーネントで該当するソフトウェアが利用されているのかどうかの確認にかなりの時間がかかっていたのですが、今ではOneAgent が全てのコンポーネントに関する情報をくまなく収集します。Dynatrace のApplication Security 機能を活用すれば、そのコンポーネントが社外に公開されているかどうか(セキュリティリスクが高いか)などを踏まえてリスクを評価できるため、対応の優先度を的確に判断できるようになりました」と話す。

担当者総出で2 週間をかけても特定できなかった処理速度低下の原因を、導入後はエンジニア1 人がわずか2日で特定するという事例も出ている。「複雑なチューニングを必要とせず、導入してすぐに飛躍的な成果が生まれたので驚きました」(安藤氏)

全社への展開も検討「AIオールイン」 で変わるインフラ運用

こうした成果も踏まえ、DeNA は将来的なシステム監視基盤の刷新において、Dynatrace を有力な選択肢の一つとして評価している。「レガシーなシステムもクラウドネイティブでモダンなシステムも問題なく扱えるため、当社が運営する多様なシステムの監視に使えるポテンシャルを感じています」(天野氏)

DeNA は「AI オールイン」戦略の下、AI をインフラ運用の中心に据えることで属人化や複雑化といった課題を解消しつつある。今回の事例は単なるツールの刷新にとどまらず、ベテランの知見をAI が参照可能なデータに昇華させ、若手でも高度な調査を可能にする「運用の民主化」への第一歩となった。同社が実証した問題解決の新たなサイクルは、AI によってインフラエンジニアがより創造的な業務に注力できる未来を提示していると言える。

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