
Dynatraceの採用を決めた一番の理由は、OneAgentによるシンプルな導入とその効果にあります。とくにマイクロサービスのような分散環境では監視対象が増え、オブザーバビリティの設定や運用の負荷が増大化してしまいます。そこで当社は、障害のたびに監視項目を追加するようなシステム監視ツールではなく、『システムが見えている状態』が分かるツールの導入を目指しました。その考え方に最も近かったのが、Dynatraceでした
アプリケーションのモダナイズと運用の課題解決を目指す
大日本印刷(DNP)は「未来のあたりまえをつくる。」というブランドステートメントのもと、製品やサービスを通じて人々の生活を豊かにすることを目指す日本国内最大級の総合印刷会社。現在は印刷関連事業にとどまらず、スマートフォン向けの機能性部材や電気自動車向けのバッテリーパウチなど多岐にわたる製品製造事業を展開している。
そのDNPグループにおけるIT機能分担会社として設立されたのが、DNP情報システムだ。同社は、DNPグループの新しい価値創出や経営基盤強化をITシステムの面から支援。基本的にDNPグループ向けにビジネスを展開しているが、一部グループ外向けのアプリケーション開発や運用保守サービスの提供も手掛けている。
そんなDNPグループではいま、アプリケーションのモダナイズを推進している。
「当社では多種多様なアプリケーションを内製化しており、近年はそれらのアプリケーションのモダナイズに取り組んでいます。具体的にはアプリケーションをマイクロサービス化して開発の自由度を高めるとともに、開発時における影響範囲を最小化できる分散アーキテクチャの構築を目指しています」(DNP情報システム デジタルイノベーション推進センター センター長 河野智晃氏)
河野氏によるとDNPグループでは現在、20年以上前に標準化されたレガシーアーキテクチャに基づいたアプリケーションが多数稼働しているという。一方で、数年前にマイクロサービスによるモダンなアーキテクチャを新たに標準化し、現在はこの新しいアーキテクチャへの移行を段階的に進めているところだ。これら新旧標準アーキテクチャに基づいたアプリケーションの多くはDNPグループ固有の業務プロセスをデジタル化したものであり、アプリケーションのモダナイズは将来のビジネスを支えるためにも欠かせない取り組みだ。
「各アプリケーションは複雑かつ高度に連携しながら稼働しています。そのため、これらのアプリケーションがシームレスに機能しない場合、社員が手作業で業務プロセスと業務プロセスの間をつながなければならないほか、迅速な障害対応や能動的なパフォーマンス改善も難しいという課題があります」(河野氏)
さらに河野氏は、運用体制にも課題があると指摘する。
「現在の運用はインフラストラクチャチームとアプリケーションチームが明確に分離した体制になっており、仮想化やマイクロサービス化によるインフラストラクチャの統合が進みつつあるのにもかかわらず、運用監視に関する情報管理はチームごとに分断されています。アプリケーションチーム内も担当するアプリケーションごとに互いの状況が確認できないという状態です。こうしたなかでアプリケーションの運用をしているのが実情でした」(河野氏)
シンプルな導入・運用を決め手にDynatraceを導入
このような課題を抱えていたDNP情報システムは、オープンソースの監視ソフトウェアを導入し、アプリケーションの集中監視をすることにした。
「しかしながら、そのソフトウェアによるモニタリングは取得するメトリクスを事前に決める必要があり、障害の予兆や未知の問題への対応ができません。そのためにインフラストラクチャチームとアプリケーションチームがそれぞれ相手に責任を求めるようなケースも発生し、新たなソリューションの導入が急務となっていました」(河野氏)
そのようななか、河野氏が注目したのがオブザーバビリティ(可観測性)ツールだった。
「オブザーバビリティツールは分散サービスの流れを追跡したりログを収集・分析したりするプラットフォームであり、当社の新しい標準アーキテクチャを支えるソリューションだと考えました。当社が抱えていた課題を解決するためにも、オブザーバビリティツールの導入を検討することにしました」(河野氏)
DNP情報システムではさっそく複数のオブザーバビリティツールを導入候補としてピックアップ。入念な比較検討の末に同社が選定したのが、次世代統合運用プラットフォーム「Dynatrace」だった。
「Dynatraceの採用を決めた一番の理由は、OneAgentによるシンプルな導入とその効果にあります。とくにマイクロサービスのような分散環境では監視対象が増え、オブザーバビリティの設定や運用の負荷が増大化してしまいます。そこで当社は、障害のたびに監視項目を追加するようなシステム監視ツールではなく、『システムが見えている状態』が分かるツールの導入を目指しました。その考え方に最も近かったのが、Dynatraceでした」(河野氏)
また、クラウドネイティブなアプリケーション開発・運用に最もふさわしい機能を備えていることも、Dynatraceを選定した理由の一つだという。
「当社では現在、開発・運用を連携させてアプリケーションの安定稼働を維持しながら新機能の追加や改善を継続的に行えるように、SRE(Site Reliability Engineering)の考え方を取り入れようとしています。これを実現するにはアプリケーションの提供価値で意識を合わせる環境の整備が重要ですが、Dynatraceを導入・活用すればインフラストラクチャチームとアプリケーションチームが同じ目標に向かって協働することが可能になります。これによりアプリケーションはより改善され、ひいてはDNPグループにおける業務プロセスの改善につながります」(河野氏)
アプリケーション品質向上と運用負荷削減を見込む
こうしてDynatraceを導入したDNPグループでは、本格的な活用に向けた取り組みを進めているところだという。そうしたなか、Dynatraceの導入効果も見えてきた。
「Dynatraceの導入により、これまで技術的・運用的な制約で諦めていたことが可能になりました。例えば、一部アプリケーションごとに個別導入していたログ管理の仕組みを統合できたことにより、従来は難しかった手作業による障害発生の原因追及を可能にし、アプリケーションを改善できるようになりました。また、アプリケーションがどのような状態にあるのか、平均リクエスト数、平均応答時間、障害の頻度といった基本的な指標が計測できるようになり、感覚に頼った改修もなくなりました。DynatraceとSREの導入によってアプリケーションの品質向上、運用負荷の削減が見込めると考えています」(河野氏)
今後は、アプリケーションのパフォーマンスを定量的に把握し、改善のインパクトを明確に示していくことを目指すという。また、DynatraceとSREの導入によるコスト削減効果を可視化することも視野に入れている。
「ユーザーが操作の応答を待つ時間を何秒短縮できたか、障害の発生頻度をどれだけ減らせたかといった数値を明らかにすることで、Dynatraceの導入価値を社内外にしっかりと伝えられるようになります。結果として、守りのITである運用業務を『苦情が来ないようにこなす仕事』から攻めのITに転じる『より良い結果を求めて攻める仕事』へと進化させ、チームのモチベーションアップにもつながっています」(河野氏)
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